(1)運動療法による不登校の心と体の変化 大学との共同研究
不登校:心と体どちらが先なのだろう?
フリースクール元気学園では、教育プログラムの中の一つとして、不登校生徒に対して、身体運動プログラムに基づく援助・指導を行い、学校復帰に大きな成果をあげている。運動支援の特徴は、ピアサポートを活用した日常行動(学園・寮生活)の中に有酸素運動を積極的に取り入れていることである。本研究では、入学から6ヶ月間の日常行動・運動量および様々な生理・心理的機能を一ヶ月毎に追跡測定を行い、身体運動増強が比較的短期間のうちに不登校生徒の循環器系および、心理的不適応状態やポジティブ感情の生起にどのような変化をもたらすか検討した。その結果、入学時に比べて、次のような変化が認められた。
食欲は1ヶ月、疲労は5ヶ月で改善
起床時の「食欲」では、入学後1ヶ月「睡眠」では、5ヶ月「体調」では、4ヶ月「疲労」では5ヶ月後に有意に、改善されていることが明らかとなった。
心臓の状態は1ヶ月で改善
起床時の安静時心拍数、運動負荷に伴う心拍数変動ともに、入学1ヶ月後には有意に低下した。日常生活の中に取り入れられた豊かな運動刺激に対して、循環器系はすぐに適応・向上している。これに伴い、生活機能も改善している。
起床後の気分やうつ状態は3,4ヶ月で変化
起床後の気分は、3,4ヶ月後には好転した。同様にうつ状態は、入学後3ヶ月に明らかに低下した。
心の変化は、体の変化ほど急速ではないものの、心臓の循環器機能の向上に誘発されるように、3ヶ月ほどの間に明らかな改善を示す。 ネガティブな気分状態とともに、うつ状態といった心理的不適応状態の改善が認められる。 注目すべきは、日常における身体運動増強にともない、ポジティブな感情、やる気や将来に対する希望などが明らかに高まっていることである。

![]() (2)不登校の心臓や自律神経系の変化、うつ状態 |