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お腹が痛い中2女子・友達がもっと優しくしてくれれば

ご無沙汰しておりますが、先生方、スタッフの皆様、生徒のみなさんお元気ですか?
早いもので、卒業式を開催していただいてからもう7カ月以上が経ちました。
たった一年間でしたが、娘と私にとって本当に中身の濃い、人生で何度もない素晴らしい出会いの場だったと思います。

娘が不登校になったのは、中2の10月からでした。
その前にも小6の時に仲良し3人組の女の子の中で急に仲間外れにされて2カ月ほど行かれなくなった事がありました。
仲間外れにされたくないという訴えで、ゲーム機を購入しました。
でも今から考えるとそんなものでつながっていても本当の友達ではないですよね。

その当時の辛い気持ちをかかえたまま中学に進学し、つねに不安があったようですが1年生の時は普通に学校に行っていました。
2年生になって何度か休むようになり、10月の文化祭が終わってからはほとんど行かれなくなりました。
それまでに、お腹が痛いとか、便秘がひどいと言ってトイレに2時間も3時間もこもるようになっていました。
私が仕事の時はゲームをずっとやっていて時間を決めても止めないので、取り上げたりもしました。
そうすると外にも出ず、お腹が空かないのでご飯も食べず、青白い廃人のような状態になっていきました。

子供は行かれない理由を、友達から色々言われるのが辛いと言っていたので、何度も学校の担任・学年主任・教頭・校長と話し合いをして、直接その女の子にも指導をしてもらいました。先生からも、その子の言い方がキツくて他にも嫌な思いをしている子がいると言われていたので、その子が原因だとずっと思っていました。
でも何度注意してもらっても、行かれるようにならずトイレにこもる時間が長くなっていきました。
すがるような気持ちで、胃腸科・児童精神科などにも行き便秘の薬も処方されましたが、一向に良くなる気配はありませんでした。
旅行の計画を立てて、先に楽しみがあれば頑張れるだろうと思ったりもしました。

この頃は、夜になると娘からの置手紙がしてあって「お仕事お疲れ様。今日も行かれなくてゴメンね。明日こそは絶対に頑張って行くからね。今度こそ約束守るからね! 」と書かれていました。
それでも朝になるとトイレから出られず、期待した私は声を荒げて何度もケンカになりました。
トイレの鍵を開けて「いい加減に行きなさい!」と言ったり、私も一緒に泣いたり…とにかく今思い出しても本当に辛くなる、先の見えない真っ暗闇の毎日でした。

何とかしなければと不登校のメルマガを片っ端から登録して読んだり、学校の先生に勧められた近所のフリースクールの情報を集めたりしました。しかし、どのメルマガを読んでも解決策は見つからず、同級生の目が気になるから家から一歩も出られないのに、家の近くのフリースクールや学校の別室に通えるわけもありませんでした。

今考えると、とにかくどうして行かれないのかを本人から聞き出して、行かせる事だけが唯一の目的になっていた気がします。

そして原因は友達の嫌がらせと思い込んでいて、先生が何とかしてくれると思っていました。
本人はのんびりしたタイプなので、悪気はないけど周りについて行かれない。だから周りがもっと優しく合わせてくれるべきとも思っていました。

そんな時、いつものように「不登校」というワードで検索していたら、「元気学園」のHPがヒットしました。
またいつものように、全然解決にもならない内容が書かれているのだろうな…と思いながら開いた私は、毎日つづられている先生のブログにくぎ付けになり、1年分を遡って読んでいました。何時間経っていたのか分からないほど、のめり込んで読んでいました。
そこにはどんな子でも大切にされて、しかもみんな元気になっていく様子·色んな所に連れて行ってもらって幅広い知識を身に付けて行く様子がちりばめられていました。

その場で小林先生の書かれた本を注文し、届くまで待ち遠しくてたまりませんでした。
届いたその日、2回読み、ラインマーカーを引いて家族にも読んでもらいました。
次の日、校長先生に渡すためにもう一冊注文しました。
それまでは人のせいにしていた原因が、娘の学力·体力·コミュニケーションカの不足によるものだと知った時に、ストンとすべてが理解できた気がしました。
何としてもこの学園に行かせたい!でも一人で外出したこともないのに、一人で寮生活なんてできるのだろうか...。とても悩みましたが、地元から離れる事で人の目を気にせず堂々と歩ける事と文章からあふれてくる子供たちに対する愛情を感じて是非お世話になりたいと思いました。

1人で知らない人ばかりの寮に入る事を、本人が納得するかが一番の難関だと思っていました。
でもHPやブログを見せて、本当に元気になれるよ!と話をしたところ本人は意外にすんなりと見に行ってみようかな?と言いました。多分、自分の力でどうしようもない状況を、本人が一番辛いと感じていたのだと思います。1人親なので心配かけたくない。学校にも行かなくちゃいけないと分かっている。だから夜には頑張って行く!と私に手紙を書く。でも朝になるとトイレから出られず、体も動かなくて結局学校に行かれない。どんどん自分に自信がなくなりどんどん家から出られなくなる。
出ないから食べれない。食べないから体カがなくなりもっと元気がなくなる。何もやる気がおこらない。
近くで見ていて、この悪循環はどうやっても断ち切る事は出来ないと思っていました。

親子で決断して、他の不登校の子達にも知ってもらいたいと、本を校長先生に渡して、ここに行きます!と伝えようと思いました。
学校から指定された日、なんと校長先生は不在で(後日、校長先生から自分がいる時に設定するよう言ってあったのですが…と聞きました)代わりに教頭先生が対応してくれました。
本人と、かなりの覚悟で寮生活をしようと思いますと伝えたところ、教頭先生から、成績に関する驚くべき言葉が出ました。子どもが、これから知っている人の誰もいないところで頑張ろうとしているのに、どうして?と思いました。
(後日、校長先生から、自分は元気学園の事を知っていて素晴らしい取り組みも知っている。
頑張ろうとしている本人に不安な思いをさせてしまって、悪かったと謝られました。)
そんな事があり、入学を許可していただいたのに、学園に入学する前にあれこれと質問をしてしまってすみません。24時間体制でお忙しくしている先生に、そんな電話をしてしまって本当に申し訳なかったと思っております。

毎月会いに行くたびに元気になる娘を見るたびに、私も元気になり、素直に色んな事が話せるようになりました。
初めての長期休暇である、GWに帰宅した時に「お母さん、元気学園に行かせてくれて有難う。あのままだったら私どうなっていたか分からない」という娘の言葉を聞いてうれしかったと同時に、先生方やスタッフの方々仲間のみなさんに心から感謝しました。
一度も帰りたいと言わない娘を見て、居場所があり、認めてくれる人や仲間がいて、頑張れる環境があるという事はどれだけ本人にとっても心強い事か、よく分かりました。家から出られない全国の子供たちにも教えてあげたいと思います。



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