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不登校の高校進学 フリースクールから見た中学不登校



高校3年間の過ごし方は、その後の人生を決定する重要な時間です。
大人たちの多くが、18歳までに身につけたことを土台に、就職や進学など、重要なことを決めていることからわかるように、臨界期にある10代のこの時期に、何にどのように時間を使うかで、人生の方向性を決めてゆくことになります。
不登校の子どもたちの高校進学は、内申書などの問題はありますが、それよりもっと大きな問題は、健康や教育の問題です。
ですから、高校進学を考える時のポイントは、「そこでは、子供に何を授けてくれるのか。そして、授けてくれたことを子供が、きちんと受け取るまでケアしてくれるのか。」という事だとフリースクール元気学園は考えます。
3年間という長い時間の使い方次第で、不登校になる原因の問題解決と、その間に抜けている教育の穴をふさぐこともできます。しかし、同時に、もっと傷を大きくしてしまうこともあります。
次へつなぐことができる、高等学校の3年間であって欲しいと願っています。
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中学3年生の夏休み前には、中学3年生の高校進学問題が現実的になってでてくる時期です。不登校の子供をもつ父母は、「進学どうしよう?」となってしまいます。 この時期、学校に呼び出されて、「どうしますか?」と学校名まで具体的な話がでてくるので、親は急に浮き足立ち、パンフレットを目を皿のようにして見て、情報を集めようとします。
しかし、焦ったところで何も変わらないので、落ち着いてください。

  • 高校に入学したからといって大きくは中学校と変わらない。
  • 学校は勉強するところであるし、集団教育の場である。

この二点を現状に踏まえて、今後のことを考えていく必要があると思います。
中学校に行けないのに、どうして高校なら行けるのか? そう思いたい親心はわかるのですが、冷静な親御さんも、なぜか、このところだけは客観性を欠きます。
しかし、高校入学直後から、「やっぱり・・・」といって落胆して学園に相談電話をかけてくる本数があまりにも多く、年々増加傾向にあることを思えば、この ような現実を知らせるのも、不登校に関わっているものとしての役割ではないかと思っています。


中学3年生12月の冬休み前には、「どこへ進学するかを決めて下さい。」と学校からの連絡がきます。
「入れる学校はどこか?」と少ない選択肢の中、妥協点を見つけ出そうとします。

まずは、家から通える範囲の高校、そして単位制高校、次には、広域通信制、次に不登校の子どもを受け入れている高校、高校と名のつくところなら・・・・。
「どこか入れてくれるところがあれば」と藁をもすがるような気持ちで、進路先を決めてしまいたいといった衝動に駆られるのもこの頃です。

しかし、子どもにとって、人間関係を作ったり、学んだり、体力をつけたりと、自活して生きていくためのコア(核)になるものを形づくるのが、高等学校の年 齢です。
3年後の姿を思い浮かべて(3年後どうなって欲しいか)、今すべきことを考えていくとよいのではないかと思います。

新たな傾向としては、文部科学省の指導により、高校中退者が減っています。
しかし、それは、何もせずに、卒業してしまって、どこか入れるところに大学進学しても、なかなか行けない(大学生の不登校)ということや、就職がままなら ず、自活するための力をつける場所がないという、大きな問題につながっています。実際、就職率が10%に満たないという大学が数多くあるのです。

元気学園への相談も、そういったことが増加傾向にあります。
中学生では、 簡単に解決できる問題が、高校生になると、時間がかかり、さらに、その上になると、どう生きていくかという現実の大きな壁が親子に覆い被さってきます。
子の年が30歳、40歳になって、親が老いても、働けない人が増えている原因は、10代の時間の過ごし方に大きな理由があるのではないかと考えます。


不登校や引きこもりの子どもたちは、人間関係をうまくつくることができないという共通点があり、単位制や広域通信制のようなところでは、人間関係が希薄で、しっかりとした人間関係をつくれないのではないかとのコメントが新聞にでていました。
同じように考え、不登校の子供たちが、人間関係を学ぶ場所が少ないことを危惧しています。

なぜ、学校生活ができないか。
それは、元気学園で、一緒に生活をはじめて、まず、「人と一緒に居られるようにする。」といったことが何より難しいと感じます。
「人といると疲れる」というのは、何気ない言葉ですが、大きな問題をはらんでいるかも知れません。
ちょっとしたことで、腹が立ち、できないことをバカにされると、ただならぬ怒りを感じたり、逆に、気に病んだりと、学校生活や社会生活でいじめという以前 の、当たり前にある、噂。良い噂も、悪い噂も、どちらもですが、そういうことに、敏感です。
また、会話や行動において、「これ以上すると人がいやがる」と いう相手の感情を理解できないということもみられますし、協力や義務的なことが苦手ということから、友達がなかなかできないといった現実も、子どもを預かってみてはじめて見えてきます。
親が知らない子どもの実態というのが、同級生の中に入れて観察すると、浮き彫りとなるのです。
そこを、きちんと教育的に、年の近い者と一緒に居られるようにするというのは、中高生だから、受け入れられるのであって、年を追うごとに自己流の生活習慣や考え方が固まってきて、難しくなっていきます。


「行くのも行かないのも、勉強するのもしないのも本人の自由」という、緩やかな制約では、決して、必要な事が身につかないと考えます。もっと、熱心に、積極的に、問題解決に集中した教育指導が、不登校をしていた子どもたちにとって、高等学校の年齢の時にはたいへん有効だと元気学園では思っています。
中学時代に不登校をしていた場合は、その時間を埋める努力ができる環境が必要です。
特に、本人の性格を形成し、知識をスポンジのように吸収できるこの年齢を、のんびりと過ごして、あとで過ぎた時間を後悔するということがないように、今何 をすればいいかを、親御さんは、子どもの揺れ動く気持ちに振り回されずに、大人の知恵を使って考えてみて下さい。


昨今、学校での事件がたいへん増えています。不登校の子どもたちの高校進学を考えるときに、重視してもらいたいのが、「どんな生徒がそこにいるのか?」と いうことです。パンフレットや、学校見学などの特別の日だけでは、分からないもので、何もない普通の日に学校に出入りする子どもたちの様子を見るのが一番 その学校の生徒がよく分かります。そういった事こそ、親ができる努力ではないかと思います。
人に影響を受けやすい年齢ですから、我が子と同じタイプかどうかなどは、子どもを危険から守るという意味で、重要なことです。


高校進学の最大のポイントは、

「そこでは、子供に何を授けてくれるのか。 そして、授けてくれたことを子供が、きちんと受け取るまでケアしてくれるのか。」

ということだと思います。
いくら授業で教えてくれても、その場に本人がいなければ教育は成り立ちませんし、本人が分からないことを聞いても、理解には至りません。また、教えるだけ でなく、学力が定着するまで、自分で勉強できるように、また、学習したことを実生活で使えるようにするところまでケアしない限り実力とは言えません。

元気学園の今までの経験から、中学時代の不登校をしている子どもたちにとっては、不登校になってしまうまでの過程におこっている問題と、体力や勉強の遅れの問題などを取り戻す、臨界期を考慮に入れた特別の教育が必要であると考えています。
体力、学力、コミュニケーション能力など総合的にそろった、しっかりしたした実力をつけることばできれば、卒業生たちが示してくれているように、自信をもって社会にでることができます。

健康は宝、教育は財産。決して他人が奪うことができないものです。
自分と共に生き続け、何よりも頼りになるものだと考えています。
そのため、 元気学園では寮生活で時間をかけられる利点を活かし、その時間できる限りの熱心な指導で、今までを取り戻し、それを乗り越える実力をつけることで、子どもたちの前途を開いていきたいと思っています。


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